歯科開業医からの、介護予防に関する視点や活動展開の地域との連携をプレゼンという趣旨で発表の機会を得た。先の健康教育学会ではあまり聴衆の興味を引かなかったので、人数が集まるか本当に心配をしたが、10名もの参加者を得て行えて、先ずホッとしました。伝えたり相互協議で違った意見を得たり身近に自由に感じて膨らませてゆける事がRTの醍醐味でもあるからです。
参加者は、歯科学生から、現場で実践している歯科医、行政の歯科医と幅も広く、これからどうした高齢者対策の展開の可能性が、必要性が在るのかを見極めようとする共通意識があったように感じた。私、急に緊張するところがあって、今回もツーっと流れた汗を青いハンカチで拭いたところ、『よっ!ハンカチ王子』とタイミングよく掛け声がかかりました。WBの藤田先生でした。さすがフォローの達人、いつも縁の下の力持ちで朴とつとした雰囲気に助けられます。以後弁舌の調子すこぶる良く、以下の様な事をお伝えしました。
地域開業歯科医院(=他科開業医院)は地域の資源であるという視点を持つ。高齢者にとって生活習慣病等の為、幾度と無く訪れる歯科医院は生活の場と捉えることができる。高齢者問題は如何に老いるか、如何に余生を過ごすか、如何にその終焉を迎えるかであると感じる。歯科医院を地域の資源、高齢者の生活の場とする捉え方は、医療者にとっては治療の補完的要素を持ち、適切なインタビューを行う事にて来院者にとってはスピリチュアルな部分を語る事のできる場となる。相互理解にて、この部分を理解すると、新しい医療の一分野が発生するであろうし、発展的には地域づくりに密接に関連する事と思われる。行政は介護予防(要介護者に陥っていない健康な自活高齢者を維持する事)の手段として箱物は提供しているけれど、参加者が多いわけではない。いろんな技術や、方法の知識は持っていても・・どこか繋がってゆかないところが在る。それは一側面の指導に陥りがちだから。WHOが提唱している、『スピリチュアル』な部分の理解が欠落したまま制度としてあてがっているからである。消化不良や拒否反応が起きている。地域の資源である開業歯科医院は、長い間、来院者と付き合ってきた経緯があり、その生活にまで入り込んでいる部分がある。その時間の経緯の中に、相互理解や協働してきた土壌の上に信頼がある。高齢来院者への仲裁、立案、説得を開業歯科医院が行うことは、介護予防事業に移行できる可能性を持っている。
行政はその性格上、一歯科医院との連携はできないというけれど、先ず双方の活動状況の交歓を、場のセッテイングを行う事も必要でしょう。開業医をそんな方向に促し使う制度をネットワークを作っても行けると思うのですが。それら資源を有効利用する知恵や、協働精神が必要であり、そのための場、空気の設定が望まれる。 『介護は!予防は!知っているけれど。』『介護予防にて、摂食・嚥下しか思い浮かばなかった。』との認識から高齢者対策に一歩踏み出し、皆が自分の、家族の事として考えようとした事は、大きな収穫であった。
(文責:関西ウェルビーイングクラブ・東海ウェルビーイングクラブ 津田 真)