(夜の部)食育の取り組み
表記の内容についての話題提供に基づいて、歯科医師、保健師、学生さんなど計9名+松岡先生でラウンドテーブルを行いました。それぞれが自己紹介とこのテーブルについた理由を話したのち、食育についての思いを話し合いました。私が印象に残ったのは次の2つです。
1.「食育は生活の中で」についてのコメント
私は、食育では個人の生活を豊かにするためのものだと考えています。食事そのものだけでなく、食べている気持ちや周りの様子を大事にしたいと思っています。ところが、栄養士が行う栄養の話というと皿の上の料理であったり、さらにひどいときには食品の中に含まれている栄養素のことであったりすることがあるので、なんとかしたいなあと考えています。歯科医師の先生から「歯科医師は、口の中だけを見ていて口を持っている人間そのものを見ていないことがある」というご指摘をいただき、専門職となるとつい人間やその人の生活を忘れてしまう危険性をはらんでいるという共通点を見出しました。
2.幼児の食育は感性を育てよう
私は、幼児の食育においては感性を育てることが大事だと考えています。この例として、「ぐりとぐら」の絵本を保育室で話題になっているとき、実際に卵がたっぷりのケーキがおやつとして登場すると、絵本の中のケーキが突然匂いや味をもった実際のものになり、触った感じや食べた感じなど五感が総動員されるようになることだと説明しました。この説明について、「生みたての卵の温かかさも感性ですね」と共感していただけたことがうれしかったです。幼児は、このような「感じたこと」を言葉で表現する力はまだ十分でないかもしれませんが、「感じる心」を育てたいと思っています。
西九州大学健康福祉学部 健康栄養学科 久野一恵